「AIで効率化しましょう」という記事はたくさんあります。でも、読んだあとに手が動かないことのほうが多くないでしょうか。私もそうでした。
この記事は、私が実際に組んで、いまも毎日動いている自動化の履歴です。うまくいったものだけでなく、挫折して捨てたもの、静かに壊れていて気づかなかったものも書きます。そこがいちばん役に立つと思うからです。
先に結論:自動化して変わったのは「作業量」ではなく「思い出す量」
自動化というと作業時間の削減が語られます。もちろん減ります。私の場合、毎朝AIが1日ぶんの投稿文をまとめて作り、あとは決まった時刻に投稿されるだけになりました。
ただ、続けてみて実感が大きかったのは別のことです。「今日あれをやらなきゃ」と思い出す回数が減ったことでした。
やることを覚えておく、時間になったら手を止めて取りかかる、終わったか確認する。この一連の負荷は、作業そのものより地味に重い。自動化はここを消してくれます。時間が浮くより先に、頭の中が静かになります。
いま自動で動いているもの(2026年8月時点)
まず全体像です。これが現在の稼働リストです。
- SNSの投稿文を毎朝つくる(AIが生成 → ファイルに保存)
- 決まった時刻に自動で投稿する(1日3回)
- ブログ記事を毎朝1本、自動で公開する
- 記事のアイキャッチ画像を自動で生成して設定する
- 毎週土曜に週次分析、毎月1日に月次分析を回してチャットへ通知する
- 失敗したときはログに残し、次に起動したときに報告させる
特別なサービスは使っていません。パソコンとテキストエディタ、それとAIがあれば同じことができます。月額でかかっているのは、AIの画像生成に使っているサービスと、SNSのAPI利用料だけです。
最初に手を出して、挫折したもの
正直に書きます。私が最初に選んだのは、ノーコードの自動化サービスでした。名前を出すと、Make.comです。
ブロックを線でつないで処理を組む、あの形式です。紹介記事も多く、これなら自分にもできそうだと思いました。
結論から言うと、私は使いこなせませんでした。
できなかったのは、処理の考え方が分からなかったからではありません。画面の操作で時間が溶けたのです。どのブロックがどれとつながっているのか、どこでデータの形が変わったのか、エラーがどのブロックで起きたのか。それを追うだけで作業が止まる。作りたいものは単純なのに、道具に慣れるコストのほうが大きくなっていました。
しばらく触って、やめました。
これは「Make.comが悪いツール」という話ではありません。合う人には強力だと思います。ただ私の場合は、線をつなぐより文章で手順を書いたほうが速かった。それだけの話です。
乗り換えた先は、Windowsに最初から入っている機能
次に選んだのは、Windowsの「タスクスケジューラー」でした。追加費用はゼロ、インストールも不要です。
やることは単純で、「この時刻に、このファイルを動かす」という予約を登録するだけ。処理の中身はテキストファイルに書いておきます。
これが自分には合っていました。理由は3つあります。
1. 中身が全部テキストで見える
どこで何が起きるかを、上から順に読めば分かります。画面を行き来する必要がありません。
2. 処理の中身をAIに書いてもらえる
「毎朝7時にこのファイルを読んで、この条件に合うものだけ処理して」と日本語で伝えれば、AIが中身を書いてくれます。私はそれを保存して、時刻を登録するだけです。
3. 壊れたときに原因がすぐ分かる
エラーの文言がそのまま残るので、それをAIに貼れば「ここが原因です」と返ってきます。
ノーコードツールが合わなかった人は、この順番を試す価値があります。「線をつなぐ道具」で詰まったら、「文章で書く道具」に替えてみる。逆もまた然りです。
投稿の自動化:AIが書き、機械が出す
いちばん効果が大きかったのが投稿の自動化です。仕組みは2段に分かれています。
朝:AIが投稿文をつくる
毎朝決まった時刻に、その日ぶんの投稿文を生成してファイルに保存します。テーマの指示、文体のルール、避けたい表現などをあらかじめ書いた指示書を読ませています。
日中:時刻になったら投稿する
朝・昼・夜の3回、保存されたファイルを読んで投稿します。
ここで大事なのが、生成と投稿を分けていることです。ひとつにまとめたほうが単純に見えますが、分けたほうがいい理由があります。
投稿の直前に文章を作る形にすると、生成でつまずいた瞬間に投稿そのものが飛びます。分けておけば、朝の生成が失敗しても前日ぶんが残っていますし、投稿だけが失敗したなら文章は無事です。どちらが壊れたのかが切り分けられるのが、運用してみて一番ありがたい設計でした。
画像の自動化でぶつかった、コストの壁
記事のアイキャッチ画像も自動生成にしています。ここで一度、設計を考え直しました。
最初は「1記事につき1枚、そのつど生成する」つもりでした。ところが記事の見出しの数だけ画像が必要になる場面が出てきて、数えてみると、とても払える枚数ではありませんでした。生成は1枚ごとに費用がかかります。
そこで方針を変えました。テーマ別に十数枚だけ作り置きして、使い回す形です。
記事の見出しの言葉からテーマを判定して、対応する画像を差し込みます。1枚だけアップロードして使い回すので、記事が増えても追加費用はかかりません。
これは自動化全般に言えることだと思っています。「毎回つくる」を「作り置きして選ぶ」に変えられないかを先に考えると、コストが桁で変わります。
分析の自動化:数字を「見に行かない」ようにする
毎週土曜と毎月1日に、実績を集計してチャットに通知させています。
ここでの狙いは、集計の手間を省くことではありません。自分から見に行かなくても、数字のほうから来る状態にすることです。
管理画面を開いて数字を確認する作業は、忙しいと真っ先に飛びます。飛ばしても今日は困らないからです。そして気づいたら3ヶ月見ていない。私はこれを何度もやりました。
通知として届けば、少なくとも目には入ります。良くない数字でも目に入る。ここが効きます。
静かに壊れていた事故を2つ、正直に書きます
自動化のこわいところは、止まったことに気づけない点です。実際に起きたものを2つ挙げます。
事故1:目に見えない1文字で、全投稿が止まった
SNSの認証情報を保存したファイルの先頭に、目に見えない制御文字が1つ紛れ込んでいました。エディタで開いても見えません。それだけで認証が通らなくなり、投稿が全部止まりました。
原因が分かるまで時間がかかりました。中身は合っているのに通らないので、書き間違いを疑いようがないのです。
教訓は単純で、認証情報のファイルは保存形式に気をつけること。それ以来、この種のファイルは必ず同じ形式で保存するようにしています。
事故2:「取得できなかった」を「ゼロ」として扱っていた
これはもっとたちが悪い事故でした。
画像生成の残高を問い合わせる処理で、通信エラーが起きたときに「残高0」として返す作りになっていました。そして「残高が少なければ生成しない」という判定が乗っていた。
結果、通信が一瞬不安定になっただけで「残高が尽きた」と誤解し、14件中12件を黙ってスキップしていました。実際の残高は十分にありました。
エラーも出ません。ただ静かに何もしないだけです。気づいたのは、出来上がったものを数えたときでした。
直し方は「取得失敗」と「値がゼロ」を別物として扱うことです。取得に失敗したら数回やり直し、それでもだめなら「確認できませんでした」と警告を出したうえで処理は続ける。本当に残高が少ないと分かったときだけ止める。
安全側に倒したつもりの設計が、いちばん厄介な「無言の失敗」を生んでいました。
自動化できなかったもの:入口がない場所
ここまで自動化の話をしてきましたが、どうしても無人にできなかったものもあります。
私はnoteでも発信していますが、noteには外部から投稿するための入口(API)がありません。つまり、プログラムから記事を投げ込むことができない。ブラウザを開いて、タイトル欄をクリックして、本文を貼り付けて、画像を設定して、保存する。この操作が必須です。
ここで判断を迫られました。無理に全自動にしようとすると、ブラウザを機械に操作させる仕組みを組むことになります。作れなくはありませんが、画面の作りが変わるたびに壊れます。壊れたことに気づくのも遅れます。
結論として、「準備までを自動、仕上げは手動」という半自動に落としました。
- どの記事が投稿待ちかを自動で判定する
- 本文を投稿用に整形しておく
- 画像も用意しておく
- ここまでが自動。最後の貼り付けと保存だけ人がやる
全自動にはなりませんが、迷う時間はゼロになりました。「何をやればいいか考える」が消えるだけで、体感はかなり軽くなります。
自動化を検討していると「全部やるか、やらないか」で考えがちですが、実際には手前の8割だけ自動にするのがいちばん現実的な着地点になることが多いです。無人にこだわると、壊れやすくて誰も直せない仕組みが出来上がります。
AIに任せていること、任せていないこと
ここも線引きが要ります。私の場合はこうしています。
任せているもの
- 下書きを書く(構成と文章のたたき台)
- 決まった形式への整形
- 大量のデータから傾向を拾う
- 処理の中身を書く(プログラム部分)
任せていないもの
- 実体験の中身。使っていないものを使ったように書かせない
- 数字。実測していない数値は入れさせない
- 公開の判断。最後は必ず自分で読む
この線引きをしないと、それらしいけれど中身が空の文章が量産されます。読む人には、たいてい伝わります。
AIに書かせるときは、「体験のメモ」を先に自分で書いて渡すのが効きます。何があったか、そのときどう感じたか。この2つをセットで渡すと、出てくる文章が急に自分のものになります。逆にこれを渡さないと、どこかで読んだような文章が返ってきます。
実際にかかっている費用
「自動化=高い」と思われがちですが、私の場合はそれほどでもありません。内訳を出します。
- 予約実行の仕組み:0円(Windowsに最初から入っている機能)
- 通知:0円(チャットツールの無料枠)
- SNSのAPI利用料:月350円(無料枠がないので最低プラン)
- 画像生成:月額のサブスク(枚数ぶんのクレジットを消費する形式)
大半は無料の道具で組めています。お金がかかっているのは、外部サービスを使う部分だけです。
ここで一点、注意があります。クレジット制のサービスは「使った量」で消えていくので、作り方しだいで費用が大きく変わります。先ほど書いた「作り置きして使い回す」に変えたときは、必要な枚数が大きく減りました。同じ結果なのに、かかる費用がまるで違います。
自動化を組むときは、動くかどうかより先に「これを毎日回したら月いくらか」を計算するほうがいい。私は一度これを飛ばして、途中で作り直しました。
これから自動化する人へ:おすすめの順番
まだ2ヶ月ですが、やり直すならこの順番にします。
1. 毎日やっていて、毎回同じことから
判断が要らない作業ほど自動化に向いています。逆に、毎回考えることを自動化しようとすると失敗します。
2. まず手作業のまま、手順を文章に書く
自動化できないものは、たいてい手順が言葉になっていません。書けたら半分終わりです。
3. 失敗したときに気づける仕組みを、最初に入れる
これを後回しにすると、上に書いた事故が起きます。「動いた通知」より「止まった通知」のほうが大事です。
4. 全部いっぺんに組まない
1つ動かして1週間放置し、壊れないことを確かめてから次に進む。急ぐと、どこが壊れたのか分からない状態になります。
まとめ
- 自動化で本当に軽くなるのは作業量より「覚えておく負荷」
- ノーコードで詰まったら、文章で書く方式に替えてみる価値がある
- 生成と実行は分ける。どちらが壊れたか切り分けられる
- 「毎回つくる」を「作り置きして選ぶ」に変えるとコストが桁で変わる
- 数字は見に行かず、届くようにする
- いちばん危ないのはエラーで止まることではなく、静かに何もしないこと
このサイトでは、私が実際に使った道具と、その履歴をそのまま書いていきます。合わなかったもの、やめたものも隠さずに書きます。参考にしてもらえたらうれしいです。

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