モニターを増やしたのに、思ったほど作業が楽にならない。増やす前より視線がうろうろするだけになった。そういう話をときどき聞きます。
この記事は、在宅でモニターを4枚使っている私が、「置き場所」ではなく「何を映すか」をどう決めたかを書いたものです。物理的な配置や高さの話ではなく、画面の中身の割り当ての話をします。
書いているのは、飲食の現場に10年いてから、SNS運用代行のフリーランスとして独立した在宅ワーカーです。営業が苦手で、その苦手を埋めるために自分の作業をひとつずつ自動化してきました。いまは自宅のデスクで、自作のデスクトップに4枚のモニターをつないで仕事をしています。
先に結論を書きます。4枚あっても、手を動かしている画面はいつも1枚だけです。残りの3枚は「手を動かす画面」ではなく「見に行かなくて済ませるための画面」として使っています。この分け方に落ち着いてから、画面が増えたことの効き方がはっきりしました。
私が使っているモニターと、その並び
最初に環境を書いておきます。
- メイン:MSI G274QPF E2(製造2023年)
- サブ:ASUS VC239 が2枚(製造2017年・2019年)
- サブ:ASUS VG258(製造2021年)
合計4枚です。この型番は、正直に言うと私自身が把握していませんでした。記事を書くときにパソコンの実機情報から調べて、はじめて全部の型番が分かったくらいです。それくらい「どれを買ったか」より「何が映っているか」で使っている、という状態です。
製造年はばらばらですが、これは購入した順番の証拠にはなりません。中古で買った可能性もまとめて買った可能性も残るので、ここは分からないままにしておきます。機種ごとの映りの違いや優劣も、並べて使っているだけで比較検証はしていないので書けません。この記事で書けるのは「4枚をどう使い分けているか」までです。
パソコンは自作のデスクトップ、デスクも自作、椅子はSYALEN、キーボードとマウスとヘッドセットはRazer、マイクはオーディオテクニカのAT2020という環境です。道具そのものの話は他の記事に書いているので、ここでは画面の中身に絞ります。
増やして効いたのは「切り替えなくていい」ことだった
モニターを4枚にして良かったと感じているのは、大きく2つです。
- それぞれの画面に作業や確認画面を置けるので、いちいち画面を切り替えなくて済むこと
- ウィンドウ間のドラッグ&ドロップが楽なこと
どちらも地味です。「作業が何倍速くなった」というような話ではありません。ただ、この2つは一日に何十回も発生する小さな動作なので、無くなると体感がけっこう変わります。
1枚のときは、資料を見る、原稿を書く、進み具合を確認する、という動作のあいだに毎回「切り替える」という工程が挟まっていました。切り替えている時間そのものは一瞬です。問題は時間ではなく、切り替えるたびに「いま何をしていたか」を思い出し直すことのほうでした。
私はSNS運用代行の仕事をしているので、投稿を作りながら別の場所の数字を見る、という往復がどうしても多くなります。その往復のたびに手が止まるのが、地味に効いていました。画面を分けてからは、往復が「視線を動かす」だけになりました。
「作業を置く画面」と「確認を置く画面」を分ける

4枚に増やしたあと、しばらくは全部の画面で何かしら作業をしようとしていました。結論から言うと、これはうまくいきませんでした。
理由はシンプルで、画面は増えても、目と手は増えないからです。同時に4つの作業を進められるわけではないので、4枚すべてを「作業する場所」にすると、単に散らかった状態になります。どこで何をしていたか分からなくなって、結局いちばん手前の1枚しか見なくなりました。
そこで、役割を2種類に割り切りました。
- 手を動かす画面:いま実際に触っているもの。1枚だけ。
- 見に行かなくて済ませる画面:触らないけれど、目に入っていてほしいもの。残り。
この分け方にしてから、画面が増えたことの効き方がはっきりしました。増えたぶんで速く作業できるようになったのではなく、「確認しに行く」という工程そのものが減ったのだと思っています。
手を動かす画面は、増やしても1枚のまま
作業する画面はメインの1枚に固定しています。原稿を書くのも、投稿を作るのも、コードを触るのも、基本はここです。
ここを固定した理由は、作業場所が毎回変わると、始めるまでの手数が増えるからです。「今日はどこで書こうか」と考えるのは、作業ではありません。飲食で働いていたころ、自分の持ち場が日によって変わると、それだけで段取りが崩れたのを思い出します。仕事の中身は同じでも、場所が決まっていないだけで動きが遅くなる感覚がありました。
画面も同じで、「ここで手を動かす」と決めておいたほうが、座ってからの立ち上がりが早いです。
参照するものは、隣に開きっぱなしにする
作業画面のすぐ隣には、そのとき見ながら書いているものを置いています。過去の投稿、資料、書きかけのメモといったものです。
ここが独立していると効くのは、ドラッグ&ドロップで持っていけるからです。画像を作業画面に放り込む、テキストを引っ張ってくる、という動作が、ウィンドウを切り替えずに終わります。4枚にして良かった点として最初に挙げた2つのうち、ひとつはここで効いています。
結果を見る画面は、触らない前提で置く
残りの画面には、触らないけれど目に入っていてほしいものを置いています。私の場合は、自動で動かしている仕組みの結果や、投稿の反応がそこに出ます。
私はThreadsとXに毎日決まった時間に自動で投稿する仕組みを動かしていて、投稿が失敗したときは通知が飛ぶようにしてあります。この通知を「見に行く」ものにしてしまうと、たいてい見に行かなくなります。実際、以前はそうでした。ある日、朝の生成が止まっていて、その日の投稿がまるごと出ていなかったことがありました。止まったこと自体に気づいたのは夜です。
目に入る場所に置くというのは、その手の見落としを減らすためのものです。仕組みを増やすほど「動いているつもりで止まっている」が起きやすくなるので、結果が勝手に視界に入る場所を1枚ぶん確保しておくのは、私にはわりと効きました。
数字を出す画面は、正直しんどいときもある
ただ、正直に書いておくと、この「結果を見る画面」はいつも気持ちのいいものではありません。
私はThreadsに87本自動投稿して、その間フォロワーが0人のままだった時期があります。あるとき数えたら、68本のうち13本はビューが0か1でした。週ごとの平均ビューも右肩下がりで、18.2、15.9、8.4、7.9、5.0と落ちていきました。noteのほうも、記事27本でフォロワーが2人という時期がありました。
そういう数字が、作業中ずっと視界の端にあるわけです。誰にも見られていない状況が続くのは、単純にきついです。「見なければよかった」と思ったことも普通にあります。
それでも置き続けているのは、数字を見ないでいると、止まっていることにも気づけないからです。見て落ち込むのと、気づかないまま何週間も過ぎるのとでは、後者のほうが取り返しがつきません。実際、告知の投稿が一度も出ていなかった時期があって、原因は書き込む先を間違えていたという単純なものでした。目に入っていれば、もっと早く気づけたはずです。
最近になって、引き継いだクライアントの案件をコンセプトから作り直したものが伸びました。ただ、伸びるまでの手応えは一切ありませんでした。やっている最中は、効いているのかどうか分からないままです。手応えが無い時期がしばらく続いたあとで、急に来ました。だから今も、反応が無い期間をすぐ失敗とは思わないようにしています。
数字を視界に置くというのは、良い報せを待つためというより、その「分からない期間」を眺め続けるための準備に近いのかもしれません。
全部の画面を埋めようとしなくていい

画面を増やすと、なんとなく全部に何かを置きたくなります。空いていると損をしている気がするからです。
ただ、私の場合は、空きがあることそのものが役に立っています。急に別の作業が挟まったとき、いま開いているものを閉じずにそのまま置けるからです。閉じてしまうと、戻ってきたときにまた開き直すところから始まります。
だから「4枚あるから4種類のものを常に映しておく」ではなく、いつでも1枚は空けておくくらいの感覚で使っています。これは効率の話というより、作業を中断したときに戻りやすいかどうかの話です。
増やして困ったのは、費用がかかることくらいでした
使い勝手の面で、モニターを増やして困ったことは、いまのところ出ていません。困ったのは費用がかかることくらいです。
ここは正直に書いておくべきところだと思っています。私は独立してから半年ほど無収入で、そのあとの半年も収入は一桁万円台でした。その間はアルバイトをしながら食いつないでいたので、道具にまとまったお金を出せる時期ではありませんでした。
だから「4枚にすると仕事がはかどるので、まず4枚買いましょう」という書き方はできません。私にとっては、切り替えが減ることが自分の作業に効いたというだけです。同時に見るものが少ない仕事なら、1枚のほうが集中できるということも普通にあると思います。
何枚にするかより、何を映すかを先に決める

枚数の話でよく聞かれるのは「何枚あれば足りますか」という問いですが、私はこれに答えを持っていません。代わりに、決める順番だけを書いておきます。
- いま自分が、一日のうちに何度も「見に行っている」ものを挙げる
- そのうち、手を動かす必要がないもの(見るだけのもの)を分ける
- 見るだけのものが常に目に入る状態になっていれば、それが1枚ぶんの用途になる
- 用途が思いつかない画面は、まだ要らない
この順番で考えると、「増やしたけど何を映せばいいか分からない」という状態にはなりにくいはずです。逆に、用途を決めずに枚数から入ると、私が最初にやったように「全部の画面で作業しようとして散らかる」になりやすいと思っています。
道具を増やして解決することと、しないことがあります。私はマイクを買ったのに使っていませんし、デスクライトは買わないままです。モニターについては、たまたま自分の作業と噛み合ったので4枚になりました。それだけの話で、枚数そのものに意味があったわけではありません。
まとめ
4枚のモニターを、私は次のように使っています。
- 手を動かす画面は1枚に固定する。作業場所を毎回変えない
- その隣に、参照するものを開きっぱなしにする。ドラッグ&ドロップで持っていけるのが効く
- 触らないけれど見落としたくないもの(結果や通知)は、目に入る場所に置く
- 全部を埋めない。1枚ぶんの空きが、作業を中断したときの戻りやすさになる
増やして良かったのは、速くなったことではなく「確認しに行く」という工程が減ったことでした。そして、増やして困ったのは費用だけです。使い勝手の不満は、いまのところ出ていません。
もしいま「増やすかどうか」で迷っているなら、枚数を決める前に、自分が一日に何度見に行っているものを数えてみるのがいいと思います。数えてみて、見に行く回数がそもそも少ないなら、増やしても空き画面が増えるだけです。道具から決めるのではなく、自分の作業から決めるほうが、外しにくいはずです。
このサイトでは、私が実際に使っている在宅ワークの道具について、良かったところと、買わなくてよかったものの両方を書いています。よければ他の記事も見ていってください。


コメント