作業環境を変えた効果は、どこまで分かるのか|「効いた気がする」のまま使っている道具の話

作業環境を変えた効果は、どこまで分かるのか|「効いた気がする」のまま使っている道具の話 椅子・デスク

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在宅ワークの道具を替えたあと、「これは本当に効いているのだろうか」と考えたことはないでしょうか。私はあります。しかも、いまだに答えが出ていないものがあります。

この記事では、私が実際に使っている作業環境の道具を「効果がはっきり分かったもの」と「効いた気がする、で止まっているもの」に分けて、その差がどこから来るのかを書きます。結論を先に書くと、効果がはっきり分かるのは、作業の手順そのものが変わった道具だけでした。それ以外は、私の場合わりと曖昧なままです。そして私は、その曖昧さを無理に結論にしないことにしました。

書いているのは、飲食の現場に10年いたあと、SNS運用代行のフリーランスとして独立した在宅ワーカーです。営業が苦手で、その苦手を埋めるために自動化を作りはじめたような人間なので、道具についても「買えば解決する」とはあまり思っていません。このサイトでは、買ってよかったものだけでなく、買わなくてよかったものや、効果が分からないままのものもそのまま書いています。

効果がはっきり分かったのは、作業の手順が変わったものだけでした

私の環境ではっきり「変わった」と言えるのは、モニターを4枚にしたことです。

理由は単純で、作業のやり方そのものが変わったからです。それぞれのモニターに、進めている作業と、確認したい画面を置きっぱなしにできます。いちいち画面を切り替えなくてよくなりました。ウィンドウ間のドラッグ&ドロップも楽になりました。

ここで大事なのは、「快適になった気がする」という感想ではなく、今までやっていた動作が消えたという点です。画面を切り替えるという動作は、以前は確実にありました。いまはありません。あった動作が無くなったのなら、効いたかどうかを迷う必要がありません。数えなくても、体感を疑わなくても、事実として分かります。

ちなみに、モニターを増やして困ったことは費用がかかることくらいで、使い勝手の面での不満は出ていません。使っているのはMSIとASUSのものが合わせて4枚です。機種名を出すと「どれがおすすめですか」と聞かれそうなのですが、私は4枚を並べて使っているだけで、機種同士を使い比べたわけではありません。だから、どれが良いという話はできません。この記事のテーマそのものですが、比べていないものについて優劣を語ることはできない、というだけの話です。

「作業の手順が変わったか」を自分に聞いてみる

道具を替えたあとで効果を判断したいときは、感想を思い出そうとするより、こう聞いたほうが早いと思っています。

  • 替える前にやっていた動作で、いま無くなったものはあるか
  • 替える前にできなかったことで、いまできるようになったことはあるか
  • それは、たまたま今日だけの話ではなく、毎日そうなっているか

この3つに答えられるなら、その道具は効いています。答えに詰まるなら、次に書く「分からないまま」の側かもしれません。

効いた気がする、で止まっているもの(椅子の話)

いちばん正直に書きにくいのが椅子です。

私はいまSYALENの椅子を使っています。その前は、特にこだわりのない普通のデスクチェアでした。替えてから、肩こりと腰痛が緩和されたような気がしています。ただ、はっきり治ったとまでは言い切れません

言い切れない理由は、自分でもいくつか思い当たります。

  • 体調には波があって、良い週と悪い週がもともとある
  • 椅子を替えた前後で、座っている時間や作業の中身も少しずつ変わっている
  • 同じ日に、古い椅子と新しい椅子を交互に試して比べたわけではない
  • そもそも「良くなってほしい」と思って買っているので、良くなったと感じたい気持ちがある

最後のものが、自分としてはいちばん厄介だと思っています。お金を出して替えたのだから、効いていてほしい。その気持ちがある状態で自分の体感を採点すると、たぶん甘くなります。

だから私は、椅子については「緩和された気がする」で止めています。不満は今のところ何も出ていないので、使い続けています。ただ、人に「これに替えると肩こりが治ります」とは言えません。私の体で起きたことが、そのまま他の人の体で起きるとは限らないからです。

「分からない」と書いておくと、あとで自分が助かる

効果が曖昧なものを、無理に「効きました」と結論づけないほうがいい理由がもうひとつあります。あとで別の不調が出たときに、原因の切り分けができなくなるからです。

椅子で治ったことにしてしまうと、次に腰が痛くなったときに「椅子は解決済み」という前提から考えることになります。実際には解決していないかもしれないのに、候補から外れてしまいます。分からないものを分からないまま置いておくのは、気持ち悪いのですが、そのぶん後から動けます。

数字が出る道具と、出ない道具がある

在宅ワークのデスク

効果の分かりやすさを分けているもうひとつの線が、数字で見えるかどうかです。

いちばん分かりやすいのは回線です。私はビッグローブ光を使っていて、速度はだいたい250〜350Mbpsくらいです。この数字は測れば出ます。速いか遅いかで迷うことがありません。オンラインの打ち合わせで困っていないので、いまのところ変える理由もありません。

一方で、椅子・デスク・キーボードといったものは、数字が出ません。座り心地に単位はありませんし、打鍵の心地よさを測る方法も私は持っていません。ここを混同すると、判断がおかしくなります。

  • 数字が出るもの(回線など)は、測って決める。体感で議論しない
  • 数字が出ないもの(椅子・机・入力機器など)は、体感でしか決められないと認める。そのうえで、体感は当てにならないことも認める

数字が出ないものについて、無理やり数字っぽい根拠を作ろうとすると、たいてい嘘に近づきます。「作業効率が上がりました」と書きたくなるのですが、私はその効率を測っていません。測っていないものを書くと、読んだ人の判断材料にならないどころか、間違った期待をさせてしまいます。

効果を考える前に、困りごとが1文で言えているか

ここまで書いてきて気づいたのですが、効果がはっきり分かった道具は、買う前の困りごとが1文で言えていたものでした。

モニターのときは、はっきりしていました。画面の切り替えが面倒だ。それだけです。だから、切り替えが減ったかどうかで判断できました。

逆に、私はマイクをオーディオテクニカのもので買って、実際にはあまり使っていません。オーディオインターフェイスも合わせて用意しました。買ったときのことを思い返すと、「良い音で録れたほうがいいだろう」くらいの気持ちで、困りごとが1文になっていませんでした。何に困っていたのかが自分でも曖昧なので、買ったあとに「効いたかどうか」を判断しようがありません。判断できないまま、使わなくなりました。

これは道具が悪いのではなくて、私の買い方の問題です。困りごとが言葉になっていないときに買うと、良いものであっても、効果を確かめる基準がありません。

1文にするときのコツ

私が自分に対して使っている書き方はこうです。

  • 1. いつ困るのかを入れる(毎日なのか、週に一度なのか、打ち合わせのときだけなのか)
  • 2. 何をしているときかを入れる(作業中なのか、確認中なのか、話しているときなのか)
  • 3. どう困るのかを入れる(時間がかかる、体が痛い、相手に伝わらない)

この3つが入った1文が書けないなら、私はいったん買いません。書けないということは、まだ困っていないか、困っている場所が別にあるかのどちらかだと思っています。

すぐに分からなくても、失敗とは限らない

行き詰まっている様子

ただ、「効果がすぐ分からない=無駄だった」と決めるのも早すぎる、とも思っています。

これは道具ではなく仕事のほうで経験したことなのですが、引き継いだクライアントの案件を、コンセプトから作り直したことがあります。作り直している最中は、効いているのかどうかがまったく分かりませんでした。手応えは一切ありませんでした。それが最近になって伸びて、クライアントも驚いていましたし、正直、自分でも驚きました。

そのときに思ったのは、反応が無い期間を、すぐに失敗と読み替えないほうがいいということです。効いていないのか、まだ表に出ていないだけなのかは、途中では区別がつきません。

道具も同じで、替えた翌日に何も変わらなくても、それは「効かなかった」ではなく「まだ分からない」だと思っています。特に体に関わるものは、数日では判断できません。私は椅子について、いまだに判断していません。それでいいと思っています。

いま私が道具を替えるときにやっている順番

ここまでの話をまとめると、私のやり方はこうなります。特別なことは何もしていません。

  • 1. 困りごとを1文で書く。書けなければ買わない
  • 2. それが数字で測れるものかを確認する。測れるなら、買う前と後で測る
  • 3. 測れないものは、判断する期間を先に決めておく。私の場合はだいたい1か月くらい見ます
  • 4. 期間が過ぎても分からなければ、「分からない」で記録して、そのまま使う。無理に結論を出さない
  • 5. 不満が出ていないなら、それも立派な結果として扱う

4番目と5番目が、以前の自分には無かったところです。前は「せっかく買ったのだから効果を言語化しなければ」と思っていました。いまは、不満が出ていないという状態を、そのまま良しとしています。椅子も、キーボードもマウスもヘッドセットも、いまのところ不満が出ていません。それ以上のことは書けませんし、書かないほうが正確です。

効果が曖昧なままでも、買い物としては失敗ではない

オンラインで学ぶ様子

最後に、これだけは書いておきたいことがあります。

私は独立してから半年ほど無収入で、そのあとの半年も収入は一桁万円台でした。アルバイトをしながら食いつないでいた時期です。そういう時期を通ってきたので、道具にお金を出すことにはいまでも慎重です。だからこそ、効果があったと自分に言い聞かせたくなる気持ちが、どこから来るのかも分かります。もったいなかったと思いたくないのです。

ただ、効果を言い切れないことと、買い物として失敗だったことは別だと思っています。椅子は効果を言い切れませんが、不満なく毎日座れています。それは十分な結果です。逆に、マイクのように使わなくなったものもありますが、それも「自分は何に困っていなかったのか」が分かったという意味では、無駄ではなかったと思うようにしています。

作業環境の話は、どうしても「これを買えば変わる」という形になりがちです。でも実際に自分の机で起きていることは、もう少し曖昧です。はっきり変わったものと、たぶん効いているものと、結局使わなかったものが混ざっています。私はその混ざったままの状態を、混ざったまま書いていきたいと思っています。

もし今、何かを買うか迷っているなら、買う前に一度だけ、困りごとを1文にして紙かメモアプリに書いてみてください。書けたなら、その道具は買ったあとに効果を判断できます。書けなかったなら、たぶんまだ買うときではありません。私はそれで、余計な一台を増やさずに済むようになりました。

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