デスクの奥行きはどれくらい要るか|自作して分かった寸法の決め方

デスクの奥行きはどれくらい要るか|自作して分かった寸法の決め方 椅子・デスク

在宅ワーク用のデスクの奥行きを、どれくらいにすればいいのか。この記事では、私が自作デスクの奥行きを決めたときに何を基準にしたか、そして実際にモニターを4枚載せて使ってみて、どこが足りてどこが足りなかったかを書きます。

先に結論を書いておきます。奥行きは「天板の広さ」ではなく「目からモニターまでの距離」で決まります。そしてその距離は、モニターを直置きするのかモニターアームで浮かせるのかで、必要な数字が変わります。ここを分けずに「奥行き70cmか80cmか」で悩んでいると、いつまでも決まりません。

書いているのは、元・調理師で飲食の現場に10年いて、そこからSNS運用代行のフリーランスとして独立した在宅ワーカーです。いまはパソコンもデスクも自作で、モニターを4枚並べて毎日そこで仕事をしています。デスクの奥行きは、既製品を買ったのではなく自分で決めた数字なので、なぜその数字にしたのかを最後まで説明できます。逆に言えば、他人の環境にそのまま当てはまる正解を持っているわけではありません。決め方のほうを書きます。

結論から書くと、奥行きは「後ろに下がれる距離」のこと

デスクの奥行きというと、天板の上にどれだけ物を置けるか、という話に聞こえます。でも実際に座ってみると、奥行きが効いてくるのは物を置く面積ではありませんでした。効いてくるのは、自分の目とモニターの間にどれだけ距離を取れるかのほうです。

キーボードを打つ位置は、奥行きが70cmだろうと80cmだろうと変わりません。手前のふちから20cmくらいのところに置くことになるからです。変わるのは、その奥にモニターをどこまで押し込めるか。押し込める距離が長いほど、画面から目を離せます。

私は最初、この順番で考えていませんでした。「モニターを4枚置くのだから広い天板が要る」と思っていて、幅のことばかり考えていました。奥行きは幅を決めたあとの、おまけみたいな扱いでした。実際に組んで座ってみて、奥行きは面積の話ではなく距離の話だったと気づきました。

だから「何を置くか」より先に「何枚置くか」を決める

私の場合、モニターは4枚です。メインが27インチクラスのもの1枚と、サブが3枚。この構成だと、真正面の1枚だけでなく、左右に振ったモニターも視界に入ります。正面のモニターまでの距離が近いと、左右のモニターを見るときに首を大きく振ることになるので、奥行きが浅いほど負担が増えます。

逆に、モニターが1枚だけなら、必要な奥行きはもっと浅くて済みます。正面だけ見ていればいいので、その1枚が視界に収まる距離があればいい。枚数が増えるほど、奥行きは効きます。

「デスクの奥行きはどれくらい?」と検索したときに出てくる目安の数字が、人によってバラバラなのは、この前提が違うからだと思っています。1枚の人と4枚の人が同じ数字を使えるわけがありません。

私が実際に決めた順番

自作したので、寸法は自分で決めるしかありませんでした。既製品なら「70cm」「80cm」という選択肢から選ぶだけですが、自作だと数字を自分で出す必要があります。そのとき私が踏んだ順番を書きます。

  1. 置くモニターの枚数を決める(私の場合は4枚)
  2. そのモニターを、直置きにするかアームにするかを決める
  3. 座ったときに画面が見やすいと感じる距離を、実際に座って測る
  4. その距離に、キーボードを置く手前のスペースを足す
  5. 出た数字に少し余裕を足して、天板の奥行きにする

順番として大事なのは、2番と3番です。アームを使うかどうかで、モニターの足が占める奥行きが丸ごと変わります。直置きだとスタンドの脚が天板を10cm以上食うことがあります。アームなら、その分をそのまま目とモニターの距離に回せます。

アームを使うと、同じ天板でも奥行きが増える

私はモニターアームを使っています。使ってみて分かったのは、アームは「高さを調整する道具」というより「天板の奥行きを増やす道具」だということでした。

モニターのスタンドは、画面の真下から手前に向かって足が伸びている形が多いです。その足の分だけ、モニターは手前に出てきます。アームにすると、支柱を天板のいちばん奥に固定して、そこからアームを伸ばして画面を支える形になるので、画面をぎりぎりまで奥に押し込めます。

数字で正確に測ったわけではないので断定はしませんが、体感として、アームにしたときのほうが画面と目の距離を取れています。同じ奥行きの天板でも、使える距離が違うという感覚です。

だから、これから奥行きを決める人に伝えたいのは、「奥行きが足りないかもしれない」と思ったとき、天板を大きくする以外にアームという選択肢があるということです。部屋の広さの都合で天板を大きくできないなら、アームで距離を稼ぐほうが現実的なこともあります。

実際に4枚載せて、足りたところと足りなかったところ

オンラインで学ぶ様子

組み上げて毎日使っている今の実感を書きます。

足りていること:画面までの距離。正面のモニターを見ていて、近すぎて疲れるという感じはありません。左右のモニターに視線を移すときも、首を大きく振らずに済んでいます。モニターを4枚にして良かったのは、それぞれの画面に作業や確認用の表示を置いておけるので、いちいち画面を切り替えなくて済むことです。この使い方ができているのは、4枚が視界に収まる距離が取れているからだと思っています。

足りていること:キーボードの手前のスペース。キーボードを打つとき、手首の下に少し天板が残っている状態になっています。ここが無いと、手首が天板のふちに当たります。奥行きを決めるとき、モニターまでの距離ばかり考えていると、この手前の数センチを忘れがちです。

足りなかったこと:物を置く場所ではなかった。正直に書くと、天板の上に物を置くスペースという意味では、余っているとは言えません。マイクとオーディオインターフェイスがあるので、そのぶんは占領されています。ただこれは奥行きの問題ではなく、幅と置き方の問題でした。奥行きを増やしても、モニターの奥にできた空間は結局使いません。手が届かないからです。

奥行きを増やしても、増えた分は使えない

これが自作して分かったことのひとつです。奥行きを増やすと天板の面積は増えますが、増えるのはいちばん奥の、手が届かない場所です。座ったまま手が届く範囲は、腕の長さで決まっているので、天板を大きくしても広がりません。

だから「奥行きを広くすれば物がたくさん置けるようになる」というのは、半分しか合っていません。置けるようにはなりますが、置いたものを日常的に使うことはできません。奥に置くのは、たまにしか触らないものだけです。

この点に気づいてから、私は「奥行きは距離のための数字、幅は置き場所のための数字」と分けて考えるようになりました。

直置きの人が先に確認しておくといいこと

私はアームを使っていますが、直置きで組む人のほうが多いと思うので、そちらについても書いておきます。ただし私自身は4枚を直置きで運用した経験がないので、ここは「アームにする前に考えたこと」として読んでください。

モニターを直置きする場合、確認しておくといいのは次の2つです。

  • スタンドの足が、手前にどれだけ張り出すか。カタログの寸法表に載っていることが多いです。この数字を、必要な奥行きに足します。
  • スタンドの足の形。手前に2本脚が伸びる形だと、その脚の間にキーボードを差し込めることがあります。逆に、板状のベースだと差し込めません。

ここを見ずに天板の奥行きだけ決めると、届いてから「モニターが思ったより手前に出てくる」ということになります。私は自作だったので後から寸法を変えることもできましたが、既製品を買ってからだと変えられません。

2枚以上並べるなら、まっすぐ並べるとは限らない

もうひとつ、奥行きに関係することがあります。モニターを複数並べるとき、全部を一直線に並べるとは限りません。左右のモニターを内側に少し角度をつけて置くと、視線を移したときに画面が正面を向きます。

角度をつけると、左右のモニターの奥側の角が、天板の奥のふちからはみ出しそうになることがあります。まっすぐ並べる前提で奥行きを決めていると、角度をつけたときに置き場所が足りなくなります。

私の環境では角度をつけて配置していますが、天板の奥に少し余裕を残していたので収まりました。ここは運が良かった部分で、計算して残していたわけではありません。複数枚を置く予定なら、まっすぐ並べたときの寸法だけで決めないほうがいいという話です。

奥行きを決めるときに、私がやってよかったこと

動画編集の作業画面

数字を決める前に、実際に体で測りました。やり方は単純です。

いま使っている机(当時は普通のデスクでした)にモニターを置いて、椅子に座って、画面が見やすいと感じる位置までモニターを前後に動かします。ちょうどいいと感じたところで止めて、目からモニターまでのだいたいの距離を測る。それだけです。

この方法の良いところは、自分の目と体格に合った数字が出ることです。ネットで見つけた目安の数字は、その人の体格と視力とモニターサイズでの数字なので、そのまま使えるとは限りません。自分で座って測れば、少なくとも自分には合っています。

もうひとつやってよかったのは、床にテープを貼って、実際の天板の大きさを部屋に描いてみたことです。数字だけ見ていると大きさの感覚がつかめませんが、床に線を引くと「これは部屋に対して大きすぎる」「思ったより小さい」がすぐ分かります。デスクは組んでしまうと簡単には変えられないので、この確認は先にやっておいてよかったと思っています。

逆に、やらなくてよかったこと

他の人のデスク環境を大量に見て回ることは、あまり役に立ちませんでした。写真だけだと寸法が分からないうえに、体格も使うモニターも違うので、参考にできる情報がほとんど残りません。「かっこいい」と思うだけで終わってしまいます。

私は独立してから半年くらいは無収入で、そのあとの半年も収入は一桁万円台でした。その時期を過ぎてからデスクを作ったので、余計なものを増やしたくないという気持ちが強くありました。そういう状態のときに他人の完成された環境を眺めていると、足りないものを数える方向に頭が働きます。自分の作業から必要な数字を出すほうが、結果的に早く決まりました。

浅くても成立するのは、どういう場合か

ここまで「奥行きは距離のため」と書いてきましたが、浅くても成立する場合はあると思います。私が試したわけではないので断定はしませんが、条件を整理しておきます。

  • モニターが1枚だけ。左右に視線を振らないので、必要な距離が短くて済みます。
  • ノートパソコンだけで作業する。画面が小さいぶん、近くても視界に収まります。
  • モニターアームを使う。前に書いたとおり、同じ天板でも距離を稼げます。
  • 壁につけずに設置できる。天板の奥に壁がなければ、モニターの一部を天板からはみ出させる置き方もできます(アーム前提です)。

逆に、私のように複数枚を直置きに近い形で並べるなら、浅い奥行きだと厳しいはずです。枚数と設置方法で必要な数字が変わるので、「在宅ワークのデスクの奥行きは何cm」という問いには、たぶん共通の答えがありません。

効果を確かめられないことは、正直に書いておきます

AIを使って作業する様子

ひとつ正直に書いておきたいことがあります。私は椅子を替えたときに肩こりと腰痛が緩和されたような気がしていますが、はっきり治ったとまでは言い切れません。デスクの奥行きについても同じで、「この奥行きにしたから疲れにくくなった」と証明できるものは何もありません。

作業環境を変えたときの効果は、比較対象を用意できないので測りようがありません。前の環境と今の環境を同時に使うことはできないし、体調も仕事の内容もその日によって違います。だから「奥行きを◯cmにすれば目が疲れなくなる」といったことは書けません。

書けるのは、自分がどういう理由でその数字にしたか、実際に使ってみてどこが足りてどこが足りなかったか、という事実のほうだけです。この記事もそこまでにとどめています。

それでも決めなければいけないので

とはいえ、効果が測れないからといって決めないわけにはいきません。デスクは買うか作るかしないと仕事が始まらないからです。

そういうときに私が使っている考え方は、「後から変えられるかどうかで、悩む時間を配分する」というものです。奥行きは後から変えられません。天板を切ることも足すこともできないので、ここは時間をかけて決めます。一方、モニターの置き方や角度は後からいくらでも変えられるので、そこは実際に置いてから調整すればいい。

私は自動化の仕組みを作るときにも同じ考え方をしていて、後から直せる部分は先に完璧にしようとせず、直せない部分だけ先に決めます。デスクの奥行きは、家具の中でも特に「後から直せない部分」なので、ここに時間を使うのは合理的だと思っています。

まとめ

デスクの奥行きについて、自作して分かったことをまとめます。

  • 奥行きは面積の話ではなく、目とモニターの距離の話。天板の上に物を置くスペースは、主に幅で決まります。
  • 必要な奥行きは、モニターの枚数と設置方法で変わる。1枚と4枚で同じ数字を使うことはできません。
  • モニターアームは、天板の奥行きを増やす道具でもある。部屋の都合で天板を大きくできないなら、こちらで距離を稼ぐ手があります。
  • 直置きなら、スタンドの足が手前に張り出す寸法を先に確認する。この数字を足さずに決めると、届いてから足りなくなります。
  • 奥行きを増やしても、増えた分は手が届かない場所。物を置く場所を増やしたいなら、奥行きではなく別の方法を考えたほうが早いです。
  • 数字は、実際に座って測ると自分に合ったものが出る。他人の環境の数字をそのまま使う必要はありません。
  • 床にテープで実寸を描くと、部屋に対して大きすぎないかが分かる。組んでからでは遅いので、先にやっておくと安心です。

私は自作だったので数字を自分で出す必要がありましたが、既製品を選ぶ場合でも、決め方の順番は同じだと思います。置くモニターの枚数と設置方法を先に決めて、そこから必要な距離を出す。この順番なら、選択肢が2つか3つに絞れます。「70cmか80cmか」で止まっているときは、たいてい枚数と設置方法が決まっていないだけです。

この記事で書いたのは、あくまで私の環境と私の体格での話です。同じ数字が合うとは限らないので、実際に座って測るところだけは、ご自身でやってみてください。デスクは一度作ると長く使うことになるので、そこにかける30分は無駄になりません。

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