在宅ワークでオンライン会議に出るとき、マイクを何にするか。この記事では、私が実際に持っているマイクと、そのマイクをいま使っていないという状態について、正直に書きます。
書いているのは、飲食の現場に10年いたあとSNS運用代行のフリーランスとして独立した、在宅ワーカーです。営業が苦手で、その苦手を埋めるために自動化を作り始めたような人間なので、オンラインで人と話す時間そのものが得意ではありません。そういう人間が「会議用にマイクを買った」らどうなったか、という話でもあります。
先に結論を書きます。私が持っているのはオーディオテクニカ AT2020と、それをつなぐためのオーディオインターフェイスAT-UMX3です。音は問題ありません。ただ、オンライン会議で使っているかというと、使っていません。理由は音質ではなく、使うまでの手数と、そもそも会議で困っていたのが音ではなかったという2点です。
私が持っているマイクとオーディオインターフェイス
まず現物の話をします。作業環境として持っているのは次の2つです。
- マイク: オーディオテクニカ AT2020
- オーディオインターフェイス: オーディオテクニカ AT-UMX3
AT2020はコンデンサーマイクなので、パソコンのUSB端子に挿してすぐ使えるタイプではありません。マイクの側にケーブルをつなぎ、その先をオーディオインターフェイスに入れて、インターフェイスをパソコンにつなぐ、という構成になります。だから2つで1組です。片方だけ買っても音は出ません。
ここは買う前に知っておいたほうがいい部分だと思います。「マイクを1本買えば会議の音が良くなる」と思って製品ページだけ見ていると、マイク単体の値段で判断してしまいます。実際には、それをつなぐ機材が別に必要になることがあります。
製品の価格や仕様は2026年8月時点の目安なので、買う前に公式で最新の情報を確認してください。ここで書きたいのは値段の話ではなく、構成が2つに分かれるという事実のほうです。
音そのものには不満がない
誤解のないように書いておくと、この2つに不満があるわけではありません。マイクとして悪いという話は一切していません。持っていて損をしたとも思っていません。
ただ、私はこの2つを「オンライン会議のために毎回立ち上げる道具」としては使っていない、というだけです。
使っていない理由1: 会議のたびに構成を切り替えるのが面倒だった
いちばん大きいのはこれです。
私はヘッドセットに Razer BlackShark V2 Pro を使っています。これは頭にかぶれば、それだけで耳と口の両方が済みます。会議の予定が入ったとき、手を伸ばしてかぶるだけで終わります。
一方で AT2020 を使う場合は、マイクの前に自分の位置を合わせて、インターフェイス側の入力を選んで、通話アプリ側の入力デバイスもそっちに切り替えて、という手順が挟まります。ひとつひとつは大したことのない手数です。でも、会議が始まる直前にこれをやるのは、思ったよりも気が重いものでした。
ここで正直に書いておくと、私はオンラインで初対面の人と話す時間そのものが苦手です。人見知りと自信のなさが前に出てしまうのが自分でも分かっていて、正直その時間が本当に嫌でした。そういう状態の直前に、機材のセットアップという工程を1つ足したくなかったのだと思います。開始2分前に入力デバイスの選択画面を開いている自分を想像すると、それだけで負担でした。
だから結果として、いつもヘッドセットのほうに手が伸びました。これは製品の優劣ではなく、その道具に手を伸ばす瞬間に、自分がどういう状態でいるかという話です。
「立ち上げに手数がある道具」は、忙しいときほど使われなくなる
これは後から気づいたことですが、道具には「置いてあるだけで使えるもの」と「使うために準備が要るもの」があります。準備が要るものは、余裕があるときは楽しく使えます。でも余裕がないときは、まず最初に使われなくなります。
私の場合、オンライン会議はだいたい余裕がない側でした。だから準備が要る側の道具が外れました。それだけのことだったと思っています。
使っていない理由2: 会議で困っていたのは音質ではなかった

もうひとつ、これが本質だと思っている理由があります。
私がオンライン会議で困っていたことを思い出すと、「声が聞き取りづらいと言われた」ではありませんでした。困っていたのは、初対面の相手と話すときに自信のなさが前面に出てしまうことと、金額を出すときに自分から下げてしまうことでした。
実際、提案資料を見てもらえたことはありました。でもそのあと連絡は一切来ませんでした。こちらからリマインドする勇気がなくて、そのまま終わりました。あのとき足りなかったのは、マイクの音の太さではありません。
これは書いていて少し苦い話です。マイクを買ったとき、たぶん私は「ちゃんとした機材を持っている状態」を手に入れれば、話す場面に対する苦手意識が少し軽くなるんじゃないか、と思っていた気がします。実際には軽くなりませんでした。道具で埋められる不足と、道具では埋められない不足は別物だった、という話です。
だからこの記事は「AT2020はいらない」という記事ではありません。自分が困っていることを取り違えたまま道具を選ぶと、良い道具を買っても状況は変わらない、という記事です。
それでも買ったこと自体は後悔していない
ここは分けて書きます。使っていないことと、買わなければよかったことは、同じではありません。
私は独立してから、仕事が取れなくて毎日なにかしら試行錯誤していた時期があります。ココナラでコンサルをやったり、YouTubeをやったり、クラウドソーシングをやったり、思いつくものは一通りやりました。声を録る前提の選択肢も、そのなかにありました。
そういう時期に「声をちゃんと録れる状態」を持っておくこと自体は、間違いだったとは思っていません。実際に使う場面が来るかどうかは、そのときには分かりませんでした。使わなかったという結果だけを見て、当時の判断を全部まちがいだったことにするのは、ちょっと違うと思っています。
ただ、それを「オンライン会議のため」と説明するのは正確ではなかった、というのが今の整理です。会議のためなら、ヘッドセットで足りていました。
これから会議用にマイクを考える人が、先に確認するといいこと

私が外した判断をふまえて、順番として先に見ておくとよさそうなことを書きます。買うものを指定する書き方はしません。自分の作業から決めるための順番です。
1. いま実際に何を言われているかを確認する
会議の相手から「声が遠い」「聞き取りづらい」「ノイズが入る」と実際に言われたことがあるかどうか。ここが出発点だと思います。言われたことがないなら、音は今のところ問題になっていない可能性があります。
私はここを飛ばしました。困りごととして観測されていないのに、機材のほうを先に用意しました。順番が逆だったと思います。
2. その道具を使うのに何手かかるかを想像する
会議が始まる直前に、その道具を使える状態にするまで何手かかるか。ケーブルを挿すのか、アプリ側の設定を切り替えるのか、位置を合わせる必要があるのか。
手数が多いほど、忙しい日に使われなくなります。「性能は高いが手数が多い道具」と「性能は普通だが手数がゼロの道具」なら、毎日使うのは後者になりやすいというのが、私が実際に経験したことです。
3. すでに持っているもので足りていないか見る
ヘッドセットを持っているなら、それにマイクが付いていることが多いです。私の場合、結果的にそれで足りていました。
もちろん、収録や配信のように「声そのものが成果物になる」用途なら話は変わります。会議とは求められるものが違うからです。ここで書いているのは、あくまで会議のためだけに考えるならという前提の話です。
4. 構成が何個のパーツで成立するか調べる
これは私の失敗の実務的な部分です。マイクによっては、単体では音が出ません。つなぐための機材が別に要ることがあります。買う前に、その製品が何と何をつないで成立するのかを確認しておくと、あとから「これだけでは動かなかった」ということが減ります。
道具では解決しなかったほうの話
最後に、この記事でいちばん書いておきたかったことを書きます。
オンライン会議が苦手だった私にとって、必要だったのはマイクではありませんでした。必要だったのは、話す場面そのものを減らすか、話さなくても仕事が進む形を作ることでした。私が自動化を作り始めたのは、営業が苦手だったからです。苦手を埋めるために、手を動かすほうへ寄せた、という順番でした。
それが正解だったかは、正直まだ分かりません。2026年8月の時点で、自社の収益はまだ立っていません。自分の発信の集客もうまくいっていません。誰にも見られていない状況が続くのは、単純にきついです。だからここで「こうすれば解決します」とは書けません。
ただひとつだけ言えるのは、苦手なことを道具で埋めようとした買い物は、私の場合は当たらなかったということです。買ったものは悪くありませんでした。当てにいった場所が違っていました。
これは道具全般に言えることかもしれません。作業が遅いのか、集中が切れるのか、体が痛いのか、相手に伝わっていないのか。困っていることの正体を先に一段だけ具体化しておくと、道具で解ける問題なのかどうかが見えやすくなります。
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まとめ

この記事で書いたことを整理します。
- 私が持っているマイクは オーディオテクニカ AT2020、オーディオインターフェイスは AT-UMX3。音そのものに不満はない。
- ただし、オンライン会議では使っていない。使っているのは Razer BlackShark V2 Pro のヘッドセット。
- 理由1は、会議の直前に構成を切り替える手数が重かったこと。手数のある道具は、余裕がないときほど使われなくなる。
- 理由2は、会議で困っていたのが音質ではなく、自信のなさや金額提示だったこと。道具で埋まる不足ではなかった。
- 買ったこと自体は後悔していない。ただ「会議のため」と説明するのは正確ではなかった。
- 選ぶ前に見るとよさそうな順番は、実際に何を言われているか、使うのに何手かかるか、いま持っているもので足りていないか、構成が何パーツで成立するか。
買わなくてよかったものを書くのは気が引ける部分もありますが、使っていない道具を「使っています」と書くほうが、このサイトとしては筋が通らないと思っています。同じように機材で解決しようとしている人が、その前に一度「自分は何に困っているんだったか」を確認するきっかけになれば、この記事を書いた意味があります。
作業環境の道具は、性能表ではなく自分の作業から決めるほうが外れにくい、というのが今のところの結論です。もし今、何かを買い足そうか迷っているなら、まずその道具を使う瞬間に自分がどういう状態でいるかを一度だけ想像してみてください。私はそこを飛ばして、1台ぶん外しました。


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