デスクを自作するとき、天板の大きさや材料は先に決まっても、高さはあとまわしになりがちです。ところが高さは、組んだあとで変えにくい場所です。脚を切ったり買い直したりしないと直せません。
この記事では、自作するデスクの高さを、何から順に決めればよいかに答えます。結論を先に書くと、先に決める1か所は天板ではありません。「椅子に座ったときの肘の高さ」です。天板の高さは、そこから逆算して決まります。
書いているのは、さとりです。元調理師で、飲食の現場に10年いたあと、SNS運用代行のフリーランスとして独立しました。いまは在宅で、自作したデスクにモニターを4枚載せて仕事をしています。このサイトでは、実際に使っている道具を、選び方と使った結果で書いています。
なお、この記事では「床から何センチ」といった数字の目安を出しません。机の高さの正解は、座る人の体と椅子で変わるからです。代わりに、自分の体で測って決める順番を書きます。読み終えたら、メジャーを1本持って、今日のうちに自分の高さを出せるようにしてあります。
デスクの高さは、天板からではなく肘から決める
机の高さを考えるとき、つい「机」を見てしまいます。けれど、実際に仕事をしているときに体がふれているのは、天板そのものではありません。
- 手がふれているのは、キーボードとマウスの上です。
- お尻が乗っているのは、椅子の座面(とクッション)です。
- 足の裏が乗っているのは、床です。
つまり、机の高さは「床」「座面」「肘」「キーボード」の位置関係の中で決まります。この中で自分の体に固定されているのが肘です。座面は椅子で動かせますし、キーボードは替えられます。天板は、組んでしまうと動かせません。
だから順番は次のようになります。
- 床から座面までを決める(椅子)
- 座った状態で肘の高さを測る
- 肘の高さから、キーボードの厚みの分を考えて天板の上面を決める
- 天板の下に、太ももが入る隙間が残るかを確かめる
- 天板の厚みを引いて、脚の長さを決める
以下、この順にたどっていきます。
決める前に用意するもの
特別な道具は要りません。
- メジャー(巻き尺)
- いつも仕事で座っている椅子
- いつも使っているキーボード
- メモ(スマホでも紙でも)
- できれば、測るのを手伝ってくれる人。いなければ、壁やスマホのカメラで代わりにできます
ひとつだけ大事なのは、いつも仕事で使う椅子で測ることです。別の椅子で測ると、座面の高さが違うので、出てきた数字がそのまま使えません。座面にクッションを敷いている人は、敷いた状態で測ります。
手順1. 椅子の高さを先に決める

足の裏が床につく高さにする
最初に合わせるのは机ではなく椅子です。椅子に深く座り、足の裏が床にしっかりつく高さに座面を調整します。太ももが床と平行に近くなり、膝の裏が座面の前の縁に強く当たらない位置が目安です。
ここで椅子を「机に合わせて」上げ下げしてしまうと、順番が逆になります。まだ机は無い、という前提で、体に合う座面の高さだけを決めてください。
クッションを使うなら、敷いた状態で決める
座面にクッションを敷くと、その厚みの分だけお尻の位置が上がります。肘の位置も一緒に上がります。クッションを使う予定があるなら、必ず敷いた状態で座面を合わせます。
クッションは、使っているうちにずれたり、へたったりします。高さの基準をクッション込みで決めた場合は、クッションを替えたときにもう一度この手順を見直すつもりでいてください。
椅子の高さの合わせ方そのものは、別の記事で手順にしています。この記事では「座面が決まった」ところから先に進みます。
手順2. 座ったまま肘の高さを測る
肩の力を抜いて、腕を下ろす
手順1で合わせた椅子に座ります。背すじを無理に伸ばさず、いつも仕事をしている姿勢に近づけます。肩の力を抜いて腕をだらんと下ろし、そこから肘を曲げて、前腕を床と平行に近い角度まで持ち上げます。
肩をすくめたり、脇を大きく開いたりしないでください。仕事中にずっと続けられない姿勢で測っても、その高さは使えません。
床から肘の下までを測る
その姿勢のまま、床から肘の下側までをメジャーで測ります。この数字が、この記事でいちばん大事な値です。メモしておきます。
一人で測る場合は、肘の位置を壁に鉛筆で軽く印をつけるか、横からスマホで撮って、あとで印の高さを測ると楽です。数回測って、ばらつくようなら真ん中あたりを採ります。
手順3. キーボードの厚みを考えて、天板の上面を決める
手が乗るのは天板ではなくキーボードの上
測った肘の高さに天板の上面を合わせると、そこにキーボードを置いたとき、手の位置はキーボードの厚みの分だけ上がります。机を使っている間に手が乗っているのはキーの上なので、肘の高さに近づけたいのはキーボードの上面です。
ですから、天板の上面は「肘の高さ」から「キーボードの厚み」を引いたあたりを候補にします。キーボードを置いて、キーの上面が肘の高さと同じか、少し下になるくらいで考えます。
厚いキーボードほど、天板は低くなる
メカニカルキーボードのように厚みのあるものを使う人は、この差が大きくなります。キーボードの手前をテーブルの縁に置いて、テーブルの天板からキーの上面までを測っておくと、引く量が分かります。
パームレスト(手首を置く台)を使う人は、パームレストの上面の高さも一緒に見てください。手首が乗る位置が変わります。
マウスも同じ面に置く前提で考える
マウスはキーボードより低い位置で使うことが多いので、キーボードに合わせた天板なら、マウス側はそれより手が下がります。ここは厳密に揃えるより、「キーボードの高さで決めて、マウスは同じ天板の上」と割り切るのが自作では現実的です。
手順4. 太ももが入る隙間が残るかを確かめる

天板の上面だけ見ると、下が足りなくなる
手順3で天板の上面が決まっても、そのまま組んでよいとは限りません。天板には厚みがあり、脚の取り付け方によっては天板の下に枠(幕板)が入ります。太ももの上に当たるのは、天板の上面ではなく、いちばん下にある部材です。
確かめ方は次のとおりです。
- 手順1の椅子に座り、床から太ももの一番高いところまでを測る
- 候補にした天板の上面の高さから、天板の厚みと、下に付く枠の高さを引く
- 残った高さが、太ももの高さより上にあるかを見る
足を組む、椅子を少し前に寄せる、座ったまま足を動かす、といった動作も考えると、ぎりぎりではなく、手のひらが通るくらいの余裕があると窮屈に感じにくくなります。
隙間が足りないときの決め方
隙間が足りない場合、天板を上げると手順3で決めた手の高さが崩れます。先に見直すのは次の順です。
- 天板の下の枠を、奥に寄せるか無くせないか
- 天板をもう少し薄い材料にできないか
- それでも足りなければ、椅子を少し下げて、足元に台を置く
肘の高さから決めた値を守るために、動かしやすい部品から動かす、という考え方です。
手順5. 天板の厚みを引いて、脚の長さに落とす
脚の長さは「上面の高さ − 天板の厚み」
ここまでで天板の上面の高さが決まりました。脚の長さは、そこから天板の厚みを引いた値です。脚と天板の間に金具やアジャスターが入る場合は、その高さも引きます。
| 見る場所 | 何で決まるか | 組んだあとに動かせるか |
|---|---|---|
| 座面の高さ | 体(足の裏が床につく位置)とクッション | 椅子で動かせる |
| 肘の高さ | 座面の高さと体 | 座面を変えると動く |
| 天板の上面 | 肘の高さとキーボードの厚み | 自作だと動かしにくい |
| 天板の下の隙間 | 天板の厚みと枠の高さ | 自作だと動かしにくい |
| 脚の長さ | 上面の高さから天板の厚みを引いた値 | 切れば下げられるが、上げられない |
脚を流用するなら、順番が逆になる
前の机の脚をそのまま使う場合は、脚の長さが先に決まっています。このときは、手順5を先にやります。
- 流用する脚の長さを測る
- 新しい天板の厚みを足して、天板の上面の高さを出す
- その高さが、手順3で出した候補と合っているかを見る
- 合わないなら、天板の厚み・椅子の高さ・脚の先のアジャスターのどれで吸収するかを決める
脚を流用すると費用は抑えられますが、高さの自由は減ります。天板を厚いものに替えると、その分だけ机が高くなる点は見落としやすいところです。
迷ったら、組む前に仮置きで確かめる
決めた高さに自信がなければ、脚を切る前に試します。今ある机やテーブルの上に、雑誌や箱を重ねて、決めた「キーボードの上面の高さ」を仮に作ります。そこにキーボードを置いて、いつもの椅子でしばらく打ってみます。肩が上がる、手首が反る、と感じたら、手順2から見直します。
脚は切って短くすることはできても、長くはできません。低めの候補と高めの候補で迷ったら、仮置きで確かめてから切るほうが安全です。
この順番で決まった机を、私はどう使っているか
ここからは、この手順の考え方がどこに当てはまったかを、私の机の事実だけで短く書きます。
私のデスクは自作です。自作にしたのは、既製品に無いサイズを作れるからでした。一方で脚は、前に使っていたデスクのものをそのまま使っています。こちらは費用を抑えるためです。脚を流用したので、私の机の高さは、前のデスクの脚と新しい天板の厚みで決まりました。手順5の「脚を流用するなら順番が逆になる」は、まさにこの形です。
椅子は SYALEN を使っていて、座面に低反発のクッションを敷いています。このクッションはすごく良いと感じていますが、たまにずれます。手順1で「クッションを使うなら敷いた状態で決める」「替えたら見直す」と書いたのは、座面の高さがクッションで変わるからです。
いまのところ、体のどこかが痛くなることはありません。椅子を替えてから、腰が痛いのもなくなりました。多少の疲れはありますが、それは座り続けていることへの疲れだと思っています。キーボードは Razer BlackWidow V3 で、パームレストは使っていませんが、手首は痛くなっていません。
ただ、正直に書くと、この記事に私の机の高さの数字は載せていません。確かめた値として出せるものが無いためです。そして私は、いずれ昇降デスクが欲しいと思っています。立って作業したいからではなく、高さを変更したいからです。脚を流用して高さが先に決まった机を使っているぶん、高さは組んだあとで動かしにくい場所だという感覚は残っています。これから組む人に、高さを最初に決めてほしいと書いたのはそのためです。
この手順が向く人、向かない人

向いている人
- これからデスクを自作する人、天板だけを替えようとしている人
- 前の机の脚を流用するか、新しく用意するかで迷っている人
- 座面の高さを調整できる椅子を使っている人
- 主に座ってキーボードとマウスで仕事をする人
向いていない人
- 立って作業する時間が長い人。立ったときの肘の高さは、この手順とは別に測る必要があります
- 高さを後から自由に変えられる昇降デスクを買うと決めている人。その場合は、ここで出した肘の高さを「座るときの設定値」として使えば足ります
- ペンタブレットや手書き作業が中心の人。手の位置がキーボードと違うので、測る基準を作業に合わせて変えてください
モニターの高さは、この手順とは別に決めます。机の高さを手に合わせたあと、目の高さはモニター側(スタンドやアーム)で合わせる、という分担にすると、どちらかを我慢せずに済みます。
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まとめ|先に決めるのは「座ったときの肘の高さ」
自作するデスクの高さは、何から決めればよいか。答えは、天板ではなく、いつもの椅子に座ったときの肘の高さです。
- 椅子の高さを先に決める(クッションを使うなら敷いた状態で)
- 座ったまま、床から肘の下までを測る
- キーボードの厚みを考えて、天板の上面を決める
- 天板の厚みと枠を引いて、太ももの隙間が残るかを確かめる
- 最後に、脚の長さへ落とす。脚を流用するなら、この順番を逆にたどる
数字の目安を探すより、自分の体で測った値のほうが、組んだあとに後悔しにくくなります。脚は切れば短くできますが、長くはできません。
まずはメジャーを1本用意して、いつもの椅子に座り、肘の高さを測ってメモしてみてください。そこから先の手順は、その1つの数字があれば進められます。


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