在宅で仕事をしていると、一日のうちいちばん長く触れている道具は、パソコンでもキーボードでもなく椅子だと気づきます。私はSYALENというワークチェアを使っていて、これはメッシュの椅子です。この記事では、私がなぜメッシュを選んだのか、そして実際に長時間座ってみて何が変わったのかを、正直な範囲で書きます。
先に結論を書きます。私はメッシュを選び、いまのところ買い替えたいとは思っていません。ただし「メッシュのほうが優れているから選んだ」わけではありません。合皮と比べてどちらが上かという話ではなく、自分がどういう座り方をしているかで決まるというのが、実際に使ってみて出た答えです。
書いているのは、飲食の現場に10年いたあとSNS運用代行のフリーランスとして独立した在宅ワーカーです。営業が苦手で、その苦手を埋めるために自動化を作っているうちに、気づけば一日中デスクの前にいる生活になりました。だからこそ椅子の話は、私にとって趣味の話ではなく仕事の環境の話です。
先に正直に書いておくこと
この記事を読み進める前に、はっきりさせておきたいことがあります。
私は合皮の椅子とメッシュの椅子を、同じ条件で並べて使い比べたわけではありません。
私が使ってきたのは、以前の普通のデスクチェアと、いまのSYALENの2つだけです。同じ時期に2脚を置いて、日替わりで座り比べて評価した、というような検証はしていません。ですので「メッシュのほうが〇〇%涼しい」といった比較の数字は、この記事には出てきません。出せないからです。
書けるのは、実際に自分が長時間座って、何を感じたかと、買う前に何を考えて選んだかだけです。そこだけを書きます。逆に言えば、そこは誰かの受け売りではないので、遠慮なく書けます。
正直さを売りにしているサイトなので、こういう前置きは省かないことにしています。「全部使いました、比べました」と書いたほうが記事としては強くなるのは分かっているのですが、それをやってしまうと、他の記事に書いてあることまで信じてもらえなくなります。
そもそも私が椅子を替えた理由
椅子を替える前、私は普通のデスクチェアを使っていました。特別なものではなく、いわゆる事務椅子のようなものです。
替えようと思ったきっかけは、はっきりした一つの出来事があったわけではありません。ただ、独立してから在宅で座っている時間が明らかに長くなり、肩と腰の調子が気になるようになりました。
飲食の仕事をしていた頃は、労働時間は長かったものの、ほとんど立ちっぱなしでした。休憩もろくに取れないような働き方でしたが、少なくとも一日中同じ姿勢で座り続けるということはありませんでした。在宅ワークになって、体の使い方が真逆になった感覚があります。長時間の立ち仕事から、長時間の座り仕事に変わったわけです。
そこで「椅子にお金をかけるのは無駄ではないかもしれない」と思うようになりました。パソコンやモニターと違って、椅子は性能の数字が分かりやすく出るものではありません。だから後回しにしがちなのですが、触れている時間で言えば圧倒的にいちばん長い道具です。
メッシュを選んだときに考えたこと

椅子を探しはじめると、大きく分けて座面や背もたれがメッシュのものと、合皮(フェイクレザー)で覆われているものに分かれることが分かりました。
私がメッシュに寄せたのは、次のような理由です。
1. 長時間座ることが前提だったから
まず考えたのが「一日のうち、何時間ここに座るのか」でした。
私の場合、朝から夜まで基本的にデスクにいます。SNS運用の仕事はパソコンの前で完結するものが多く、打ち合わせもオンラインです。つまり移動がないぶん、座っている時間が長い。この前提だと、短時間の座り心地よりも、長く座ったときにどうかのほうが重要になります。
メッシュは背中や座面が布状で、空気が通る構造になっています。長時間同じ姿勢でいるなら、背中がずっと同じ面に密着し続けないほうがいいだろう、と考えました。
2. 見た目より、そこに座り続けられるかを優先した
正直に言うと、見た目は合皮のほうが好みでした。黒い合皮の椅子は、デスク周りに置いたときの統一感が出しやすいと思います。
ただ、私のデスクは自作で、モニターも4枚あるので、そもそも見た目の統一感を追いかけるような環境ではありません。それよりも「この椅子に何時間座っていられるか」のほうが、自分の仕事にとっては効いてくると判断しました。
道具を選ぶとき、私はできるだけ「自分の作業から決める」ようにしています。誰かのおすすめから決めると、その人と自分の作業が違ったときに合わなくなるからです。
3. 座面の高さや調整より、まず素材を決めた
椅子の情報を調べていると、ランバーサポートやヘッドレスト、アームレストの可動域など、比較する項目がたくさん出てきます。ただ、全部を同時に比べようとすると決められなくなります。
なので私は先に素材を決めて、そのあとで細かい部分を見るという順番にしました。選択肢を減らしてから、残ったものを比べるほうが、私には向いていました。
実際に長時間座ってみて、変わったこと
ここからが、実際に使ってからの話です。
SYALENに替えてから、肩こりと腰痛が緩和されたような気がしています。
この「気がしています」という書き方をわざとしています。というのも、はっきり治ったとまでは言い切れないからです。
椅子を替えた時期と、仕事の内容が変わった時期、作業時間が変わった時期は、きれいに分かれていません。椅子だけを変えて他は全部同じ、という実験をしたわけではないので、「椅子のおかげで治りました」と書くのは、正確ではないと思っています。
ただ、体感として悪くなったところは一つもありません。そして椅子への不満は今のところ出ていません。これは、道具としてはかなり大事なことだと思っています。
不満が出ないというのは、地味だけれど強い
道具のレビュー記事を読んでいると、「ここが素晴らしい」という長所が並んでいることが多いです。でも実際に使っていると、長所を毎日感じることはあまりありません。
その代わり、不満は毎日感じます。座るたびに気になる、作業の途中で座り直したくなる、といったものは、積み重なると集中を削ります。
私の場合、椅子に替えてから座り直しの回数を意識することがなくなりました。これは長所として声を大にして言えるようなものではないのですが、道具として自分の中では合格だと思っています。
メッシュにして困っていること
いいところだけ書くと嘘になるので、困っている点も書きます。
ただ、これは正直に言うと「これが困る」と挙げられるものが今のところ出てきていません。
よく言われるような、座面が硬いとか、体に当たる部分が痛いとか、そういったものは私の使い方の範囲では起きていません。ただしこれは私の体格・私の座り方・私の作業時間での話であって、誰にでも当てはまるとは思わないでください。
体重のかかり方や座る姿勢は人によってかなり違うので、こういうものは自分で座ってみないと分かりません。ここは、記事を読んで決めるより、実物に座れる場所で座ってみるほうが確実です。
もう一つ、これは素材そのものの話ではないのですが、椅子は場所を取ります。私は自作デスクにモニターを4枚置いた環境なので、デスク周りはそれなりに占有されています。椅子を替えるときは、後ろに下がるスペースがあるかどうかも見ておいたほうがいいと思います。
メッシュと合皮、どちらを選ぶかの決め方

比較検証をしていない私が「どちらがいい」と断定するのは違うと思うので、代わりに自分ならこう考える、という決め方を書きます。
座る時間の長さで考える
一日に何時間座るのかを、まず具体的な数字で出してみることをおすすめします。
- 一日1〜2時間程度で、あとは別の場所にいる
- 一日中デスクにいて、食事以外はほとんど座っている
この2つでは、同じ椅子でも意味が変わってきます。私は後者だったので、長時間側に振った選び方をしました。短い時間の座り心地と、長い時間の座り心地は別のものだと思っています。
その椅子で何をするかで考える
作業内容によって、椅子の使われ方は変わります。
- ずっと同じ姿勢でキーボードを打つ
- オンライン会議で人と話す時間が長い
- 作業と休憩を細かく行き来する
私はほとんどが1つ目です。SNSの運用も、自動化の仕組みを触るのも、結局はキーボードとモニターの前にいる時間です。姿勢が固定されやすいので、同じ場所がずっと当たり続けないことを優先しました。
買い替えの頻度をどう見るかで考える
椅子は消耗品でもあります。何年で買い替えるつもりなのかを先に決めておくと、金額の考え方が変わります。
私はこの点で、独立初期に痛い思いをしています。動画編集のスクールに約70万円を払ったとき、それが何本ぶんの仕事に相当するのかを、払う前に計算していませんでした。独立初期の編集案件は1本4,000円から10,000円くらいだったので、あとから計算すると70本から175本ぶんです。
この経験があってから、金額の大きいものを買うときは「これは自分の仕事の何回ぶんか」を先に出すようにしています。椅子でも同じです。金額そのものより、その金額を自分の仕事の単位に置き換えたときにどう見えるかで判断しています。
椅子より先に見直したほうがいいかもしれないこと
椅子の話をしておいて何ですが、体の負担という意味では、椅子だけを替えても解決しないことがあると思っています。
私の環境で言うと、モニターが4枚あります。これは切り替えの手間が減るという意味では非常に助かっていて、いちいち画面を切り替えなくて済むこと、ウィンドウ間のドラッグ&ドロップが楽なことは、はっきりした利点です。
ただ、枚数が増えるということは、視線を動かす範囲も広がるということです。椅子の座り心地とは別の話として、画面の位置と椅子の高さの関係は、セットで考えたほうがいいと感じています。
椅子だけを高性能なものに替えても、画面の位置が合っていなければ、結局は同じ姿勢の無理が残ります。椅子は単体の道具ではなく、デスク環境全体の一部だという見方をするようになりました。
いま座っている環境を、そのまま書いておきます

参考までに、私がいま使っている環境を書いておきます。椅子だけを切り出しても伝わりにくいと思うからです。
- 椅子:SYALEN
- デスク:自作
- パソコン:自作のデスクトップ
- モニター:4枚(メインがMSI、サブがASUS)
- キーボード:Razer BlackWidow V3
- マウス:Razer Basilisk V3
- ヘッドセット:Razer BlackShark V2 Pro
この構成で、朝から夜まで座っています。周辺機器のRazer3点も、基本的に問題なく使えていて特に不満は出ていません。
デスクを自作にしているのは、既製品だとサイズの選択肢が限られるからです。モニターを4枚置くとなると、天板の奥行きと幅がそれなりに必要になります。椅子の座り心地は、デスクの高さと合っているかどうかでも変わってくるので、この2つはセットで考えたほうがいいと思います。
これから椅子を選ぶ人へ、私が伝えられること
最後に、この記事で言いたかったことをまとめます。
1. メッシュか合皮かは、上下ではなく相性の問題です。私はメッシュを選んで満足していますが、それは私が一日中座っていて、姿勢が固定されやすい作業をしているからです。座る時間が短い人や、作業内容が違う人には、別の答えが出る可能性があります。
2. 「治りました」とは書けません。肩こりと腰痛は緩和されたような気がしていますが、椅子だけを変えた実験をしたわけではないので、断定はできません。ここを盛って書いてしまうと、その先に書くことも信じてもらえなくなります。
3. 不満が出ないことは、それだけで価値があります。毎日座るものなので、小さな引っかかりが積み重なると作業が削られます。長所が派手でなくても、引っかかりがないなら、それは道具として合っているということだと思います。
4. 金額は「自分の仕事の何回ぶんか」に置き換えて考えてみてください。私は約70万円のスクール費用でこれをやらずに失敗しています。椅子の金額はそこまで大きくないかもしれませんが、考え方としては同じです。
5. できれば実物に座ってみてください。体格も座り方も人によって違うので、これは記事では埋められない部分です。私の感想はあくまで私の体での話です。
在宅で仕事をしていると、道具にお金をかけることに後ろめたさを感じることがあります。私も独立してから半年ほどは無収入で、そのあとの半年も収入は一桁万円台だったので、その感覚はよく分かります。
ただ、椅子に関しては、一日のうち最も長く触れている道具だという事実があります。そこだけは、他のものとは少し違う判断をしてもいいのではないか、というのが、実際に替えてみた今の私の考えです。
もし作業環境で他に気になっているところがあれば、モニターの枚数や配置、デスクの選び方についても実際の環境をもとに書いていますので、あわせて読んでみてください。自分の作業から決めるという考え方は、どの道具でも同じです。


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