上りだけ遅いときは、まずタスクマネージャーを開いて、パソコンが裏で何かを送り続けていないかを見ます。上りの帯域は、クラウドの同期やWindowsの更新の配信に食われていることがあるからです。そこが空いていれば、有線と無線で比べてどこで詰まっているかを切り分けます。回線やルーターを疑うのは最後です。
書いているのは、在宅でSNS運用代行をしている、さとりです。自作のデスクトップにモニターを4枚つないで、一日中家で作業しています。手順の画面名は Windows 11 に合わせました(私のPCは Windows 11 Home です)。更新で項目の場所が変わることもあります。見つからないときは、設定の上にある検索欄に項目名を入れてみてください。
上りだけ遅いと何が困るのか
下りはデータを受け取る向き、上りは送る向きです。動画を見たりページを開いたりするのは下りなので、上りが遅くても普段の閲覧ではあまり気づきません。
上りが効いてくるのは、こちらから送る作業です。
- オンライン会議で、自分の映像と声を相手に届けるとき
- 動画や画像のファイルを、クラウドやクライアントの共有フォルダに上げるとき
- メールに大きな添付を付けて送るとき
相手には自分の映像が止まって見えるのに、自分の画面では相手がなめらかに動いている。ファイルのダウンロードは速いのに、アップロードだけ進まない。こういう症状なら、上りを疑ってよい状態です。
手順1:いま裏で何かを送っていないかを見る
上りが遅い原因でいちばん手早く直せるのが、自分のパソコンがすでに上りを使っているケースです。何もしていないつもりでも、同期や更新が裏で送り続けていることがあります。
タスクマネージャーで送信量を見る
- キーボードの Ctrl と Shift と Esc を同時に押して、タスクマネージャーを開きます。
- 左側の「パフォーマンス」を選びます。
- 使っている接続(「イーサネット」か「Wi-Fi」)を選びます。
- グラフの下にある「送信」の値を見ます。
自分では何も送っていないのに「送信」がずっと動いているなら、どこかのアプリが上りを使っています。
どのアプリが送っているかを特定する
タスクマネージャーの「プロセス」タブにもネットワークの列はありますが、送信と受信が合わさった値です。送信だけを見たいときは、リソースモニターのほうが分かりやすくなります。
- Windows キーと R を同時に押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 「resmon」と入力して Enter を押します。
- リソースモニターが開いたら「ネットワーク」タブを選びます。
- 「ネットワーク活動のあるプロセス」の欄で、「送信 (B/秒)」の見出しを押して多い順に並べます。
上に来たアプリが、上りを使っている犯人の候補です。
よく出てくる送り手と、止める場所
| 送っているもの | 止める・絞る場所 |
|---|---|
| OneDrive の同期 | タスクバーの OneDrive アイコンから設定を開き、同期の詳細設定にあるアップロード速度の制限 |
| パソコン版 Google ドライブの同期 | Google ドライブの設定にある帯域幅の設定(アップロード速度の上限) |
| Windows Update の配信の最適化 | 設定 → Windows Update → 詳細オプション → 配信の最適化 |
| 写真や動画の自動バックアップ | そのアプリの設定で、一時停止か送る時間帯の指定 |
同期そのものを切る必要はありません。急ぎで送りたいものがあるあいだだけ一時停止するか、上限を決めておけば、作業の送信と取り合いになりにくくなります。
手順2:Windowsの「配信の最適化」を確かめる

表の中で、知らないうちにオンになっていることが多いのがこれです。Windows の更新ファイルを、ほかのパソコンへ分けて送る仕組みで、そのぶん上りを使います。
- 設定を開き、左の「Windows Update」を選びます。
- 「詳細オプション」を開きます。
- 「配信の最適化」を開きます。
- 「他のデバイスからのダウンロードを許可する」をオフにします。
オフにしても、自分のパソコンの更新が止まるわけではありません。オンのまま使いたい場合は、同じ画面の詳細オプションで、アップロードに使う帯域の上限を決められます。
ここまでで送信のグラフが静かになり、測り直して上りが戻っていれば、原因はパソコンの中でした。回線もルーターも触らずに済みます。
手順3:有線と無線、ほかの端末で比べて切り分ける
送信のグラフが静かなのに上りが遅いなら、どこで詰まっているかを切り分けます。やることは、条件を1つずつ変えて測り直すだけです。
測るときにそろえること
- ブラウザのほかのタブと、会議アプリなどは閉じてから測る
- 同じ速度測定サイトで、何度か測る(1回だけだと、たまたまの値を拾うことがあります)
- 別の速度測定サイトでも測ってみる(測る先のサーバーが違うと、上りの値が変わることがあります)
比べ方と、そこから分かること
| 比べた結果 | 詰まっていそうな場所 |
|---|---|
| このパソコンだけ遅い。スマホは同じWi-Fiで上りが出る | パソコン側(アプリ、ネットワークアダプター、ドライバ、VPN) |
| Wi-Fiだと遅い。同じパソコンを有線でつなぐと出る | 無線の区間(距離、周波数帯、アダプター) |
| 有線でも、どの端末でも上りが遅い | ルーターか回線 |
| 同じ条件でも、時間帯によって遅くなったり戻ったりする | 回線側の混雑の可能性 |
家にほかの人がいる場合は、その人の端末が送っていないかも見ておきます。スマホの写真の自動バックアップや、ネットワークにつないだカメラ、ほかのパソコンの同期は、自分のパソコンからは見えません。
手順4:Wi-Fiなら「送信」のリンク速度を見る
無線の区間が怪しいときは、パソコンとルーターのあいだで、送る向きにどれくらいの速さでつながっているかを見ます。Windows 11 は受信と送信を分けて表示してくれます。
- 設定を開き、「ネットワークとインターネット」を選びます。
- 「Wi-Fi」を開きます。
- 「ハードウェアのプロパティ」を開きます。
- 「リンク速度 (受信/送信)」の行を見ます。
斜線の右側が送信です。右側だけが左側よりはっきり低いなら、パソコンからルーターへ届く電波が弱い状態です。試せることは次のとおりです。
- ルーターとのあいだにある壁や家具、金属の棚を減らす。またはパソコンかルーターの位置を近づける
- ルーターが複数の周波数帯を出しているなら、つなぐ先を切り替えてみる
- デスクトップで、Wi-Fiのアンテナがパソコンの背面に隠れているなら、向きや置き場所を変える
有線でつないでいる場合も、設定 → ネットワークとインターネット → イーサネット に同じ「リンク速度 (受信/送信)」の行があります。ここが思ったより低いなら、ケーブルや差し込み口の側を疑います。
手順5:パソコン側の設定で上りを詰まらせているもの

このパソコンだけ遅い、と切り分けられたときに見る場所です。
VPNとセキュリティソフト
VPN を使っていると、送るデータはいったん VPN のサーバーを通ります。そこが混んでいると上りが落ちます。仕事上切ってよい場面なら、一度切って測り直してください。セキュリティソフトの通信の検査が重くなっていることもあるので、同じく一時的に外して比べます。比べ終わったら元に戻します。
ネットワークアダプターの省電力とドライバ
- スタートボタンを右クリックして「デバイスマネージャー」を開きます。
- 「ネットワーク アダプター」を開き、使っているアダプターをダブルクリックします。
- 「電源の管理」タブで、「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」にチェックが入っていれば外します。
- 「ドライバー」タブで、ドライバの日付と版を控えます。
ドライバが古いままなら、パソコンかマザーボードのメーカー、またはアダプターのメーカーのサイトで新しい版が出ていないかを確かめます。更新する前に、いまの版を控えておくと、具合が悪くなったときに戻しやすくなります。
手順6:最後にルーターと回線を疑う
有線でも、どの端末でも上りが遅い。ここまで来て初めて、ルーターと回線の番です。
- ルーターと、あればONU(光回線の終端の機器)の電源を切り、少し待ってから入れ直します。
- ルーターの管理画面で、ファームウェアの更新が出ていないかを見ます。
- ルーターの機能で、通信の優先度や帯域の制限を設定していないかを見ます。
- 時間帯を変えて測り、遅い時間と出る時間を記録しておきます。
- 記録を持って、契約しているプロバイダーに相談します。
プロバイダーに聞くときは、有線で測ったこと、ほかの端末でも同じだったこと、どの時間帯に遅いかを伝えると話が早く進みます。パソコン側をひととおり確かめた記録があると、こちらの設定の確認から始め直さずに済みます。
道具を買い替えるのは、原因が道具のときだけ
上りが遅いと、ルーターや回線を替えたくなります。ここまでの手順で分かるとおり、原因の多くは裏で送っているアプリと、無線の届き方です。どちらも設定と置き場所で直ることがあるので、その段階では何も買わなくて大丈夫です。
道具を見直すのは、次のように切り分けが道具を指したときです。
- ルーターの近くに置いても、Wi-Fiの送信側のリンク速度だけが低いまま。ほかの端末は出る。パソコンのWi-Fiアダプターを疑う
- 有線にすると上りが出る。Wi-Fiでは、どの端末も上りが出ない。ルーターの無線を疑う
- 有線のリンク速度が低い。ケーブルの規格や傷みを疑う
このときも、何をいくらで買うかは、自分の部屋の広さとルーターまでの距離、つなぐ台数で決まります。お店のおすすめより先に、手順4で見たリンク速度の値を控えておくと、買ったあとで良くなったかどうかを同じ場所で確かめられます。
この順番が向く人、向かない人

この記事の手順が合うのは、下りは普段どおり出ていて、上りだけが遅い人です。会議の映像が相手側で止まる、アップロードだけ進まない、という症状がそれにあたります。
下りも一緒に遅い場合は、回線全体の測り方から始めたほうが早いです。特定の会議アプリだけで途切れる場合は、アプリ側の設定やマイク・カメラの確認が先になることもあります。
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まとめ
上りだけ遅いときは、外側からではなく内側から見ていきます。
- タスクマネージャーとリソースモニターで、裏で送っているアプリを探す
- Windows Update の配信の最適化を確かめる
- 有線と無線、ほかの端末で比べて、詰まっている場所を絞る
- Wi-Fiなら、リンク速度の送信側を見る
- VPN、セキュリティソフト、アダプターの省電力とドライバを見る
- 最後にルーターを入れ直し、時間帯の記録を持ってプロバイダーに相談する
上から順に見ていけば、どの段階で戻ったかで原因がはっきりします。設定で戻ったなら、そこで終わりで大丈夫です。


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